04 / FICTION

SLENDER IV.com / 書き下ろし官能小説

私が切った髪

美容師の嫉妬と、年下の客へのいたずら

年上の美容師・紗良は、担当してきた年下の律が初めてのデートへ向かうと聞き、女心のレクチャーを名目に二人だけの時間を作る。

創作であること

この物語は作品から着想を得た独立したフィクションです。出演者本人の心情や実際の出来事、レビュー対象の固有場面を示すものではありません。

この小説は、作者自身のアイデアと構想をもとに、AIの支援を受けながら文章化・推敲しています。

WRITTEN FOR SLENDER IV.com

律が初めて紗良の美容室に来たとき、紗良が最初に受けた印象は、前髪よりも全体の野暮ったさだった。

顔立ちは悪くない。むしろ、よく見れば整っているほうだと思う。でも、伸びた髪と少し大きい服、視線の置きどころに困っているような姿勢が、顔より先に目に入った。

「今日はどうしますか?」

鏡の前に座った律へ、紗良はいつものように尋ねた。

律は鏡の中の自分を一度見てから、短く答えた。

「お任せします」

ぶっきらぼうに聞こえる言い方だった。ただ、機嫌が悪いわけではないらしい。何を言えばいいのか分からず、いちばん短い答えを選んだだけなのだと、数分話せば分かった。

美容師にとって、「お任せします」は案外いちばん困る言葉だった。正解を決める材料が少ないぶん、似合わなかったときの言い訳ができない。それでも、その曖昧さにきちんと答えるのが紗良の仕事であり、小さな信条だった。

「じゃあ、顔が見えるようにしよう。短くしすぎず、今より少しだけ軽くするね」

「はい」

カットを始めると、律は少しずつ話した。会社のこと。通勤が面倒なこと。休日に何をしているか聞かれると困ること。話すのが下手なのではなく、話し始めるまでに時間がかかる人なのだと紗良は気づいた。

鏡の前で前髪を整え、耳まわりを軽くして、首の線がすっきり見えるところで手を止めた。

「ほら、似合うじゃん?」

律は鏡を見たまま、少し遅れて笑った。

「……本当ですね」

その素直さが、紗良には少し可笑しかった。

律は、それから月に一度、きちんと予約を入れた。

髪を切るだけの時間だったはずなのに、紗良は少しずつアドバイスを増やしていった。前髪を朝どう乾かすか。眉を整えすぎないこと。人と話すとき、焦って言葉を足しすぎないこと。髪を気にして何度も触る癖をやめること。

命令ではなく、あくまで提案だった。それでも律は、次に来るとたいてい何かを試していた。

「前髪、朝に言われた通りに乾かしたら楽でした」

「でしょ。ちゃんと続ければ慣れるの」

「人と話すときも、急いで答えないようにしてます」

「それはいい。律は黙っていても不機嫌には見えないから」

少し年下の彼が、助言をまっすぐ受け取って変わっていくのを見るのは、かわいい弟を見ているようで楽しかった。

それが何なのか、紗良は深く考えなかった。

ある月の予約の日、律はいつもより落ち着かない様子で椅子に座っていた。

「何かあるの?」

ケープを留めながら聞くと、律は少し迷ってから言った。

「今度、デートすることになって」

紗良の指が、ほんの一瞬だけ止まった。

「へえ。よかったじゃん」

「何を着たらいいと思います?」

「それは自分で考えなさい。シンプルで大丈夫だから。私は髪を担当する」

律は安心したように頷いた。

紗良は髪を整えながら、会ったことのない相手のことを考えた。相手はきっと、今の律を素敵だと思うだろう。もともとの素材は悪くない。それを少し見えやすくしてきたのは、自分なのだから。

ただ、なんとなく面白くなかった。

次の予約は、一か月後だった。

律はシャンプー台から戻ると、鏡越しに紗良を見た。

「デート、どうだった?」

紗良ができるだけ何でもない声で聞くと、律は答えた。

「楽しかったです。次も、来週末に会うことになって」

「一回目は何かあった?」

「何もないです」

律はすぐに付け加えた。

「一回目で何かあるわけないじゃないですか」

その言い方に、紗良は少し笑った。

「そういうものでもないけどね」

ケープをかけながら、紗良は黙った。

うまくいくなら、本来は喜ぶべきことのはずだった。律が誰かと会い、その相手に好かれるなら、自分が教えてきたことだって無駄ではない。

それなのに、このまま何となく彼が誰かのものになっていくのは嫌だった。恋人になりたいのかと問われれば、そうではない。ただ、胸の奥にあるむずむずしたものの正体が分からず、紗良はその気持ちを見ないふりをした。

そして、思いついた言葉をそのまま口にした。

「二回目は、少し決めにいかなきゃだめだから、私がデートのレクチャーもしてあげる」

律が目を丸くする。

「紗良さんが?」

「そう。明後日、仕事ないんでしょ?」

「ないですけど」

「じゃあ決まり。午後に駅前で待ち合わせね」

自分でも、なぜそこまで自然に誘えたのか分からなかった。決めていたわけではない。ただ、もう少しだけ律のそばにいる理由が欲しかった。

明後日の昼、紗良は駅前のカフェで律を待った。

軽い昼食を取りながら、紗良は二回目のデートの予定を聞いた。映画を観て、それから食事をするらしい。

「いいと思う。でも、映画のあとに何をするかは最初から少し決めておいたほうがいい」

「食事だけじゃなくて?」

「食事のあと。帰るかどうかをすぐ聞かないで、今日どうだったか話しながら少し歩くの。行く場所を何も決めずにうろうろすると、女の子は不安になるし、ああいうのが嫌いな子も多いから」

律は真剣に頷き、スマートフォンに短くメモをした。

昼食のあと、二人は商店街へ移った。

紗良は、背伸びした店ばかりを選ばなかった。安くても形がきれいに見える店をいくつか回り、律に自分でシャツとパンツを選ばせた。律は値札を見て少し迷い、それから自分の財布を出した。

「頑張りすぎない服でいいの」

試着室の前で、紗良は言った。

「男の人はこういうのが格好いいと思いがちだけど、あなたはそんなに格好つけなくていい。髪は私が整えたんだから、あとはそれを気負わなく見せればいいの」

律は新しいシャツの袖を見ながら、困ったように笑った。

「紗良さんが言うと、できる気がします」

その一言を聞いて、紗良は急に視線を外した。

服を選び、夕食を食べて、それで解散するつもりだった。弟のような相手に、姉らしいことをするだけのつもりだった。

夕食の店で、紗良は赤ワインをグラスの中でゆっくり揺らしていた。律は酒が苦手なので、食後の炭酸水を頼んでいる。

今日の予定がすべて終われば、律は次の週末に別の女の子へ会いに行く。うまくいくなら、本来は紗良にとっても嬉しいことのはずだった。

ただ、うまくいかなくても、紗良は別に困らない。

自分が何を望んでいるのかは、よく分からなかった。ただ、このまま「レクチャー」を終えて帰るのが嫌だった。胸の奥に小さく生まれた悪い気持ちが、酒のせいにできる程度に、静かに大きくなっていた。

「映画のあとに歩く場所、もう一回説明してあげる」

紗良は、空になったグラスをテーブルに置いた。

「今から?」

「実際に見ないと分からないでしょ」

店を出ると、紗良は駅から少し離れた海沿いの公園へ律を連れていった。その間、二人は何気ない会話をしながら歩いた。夜の海は暗く、公園の小さな灯りと遠くを走る車の音だけが残っている。普段の美容室では感じない、ごく微かな居心地の悪さが、会話の切れ目ごとに二人のあいだへ割り込んできていた。

紗良は海が見えるベンチに座り、律にも隣を指した。

「映画と食事のあとなら、こんなところがちょうどいい」

「理想は、ここでキスをすることだね」

律が息を止める。

「でも強引にしちゃだめ。相手が近づいてきているか、目を見てくれるか、ちゃんと確かめて。自分のしたいことより、相手が嫌じゃないことを先に考えるの」

紗良はベンチから立ち上がり、海沿いの道の先を見た。

「キスがうまくいったら、その次の段階も決めておいたほうがいい」

律は、さっきより真剣な顔になった。

「相手がすぐ離れずに近くにいるとか、もう少し話したそうにしているとか。そういうサインが見えたら、『もう少し休んでいく?』って聞くの」

「ホテルに、ですか」

「だけど急に決めつけるのはだめ。帰る選択肢もちゃんと残して、相手が自分で選べるようにする。でも、聞いたなら曖昧にしないで、行くならきちんとリードすること」

律は短く頷いた。

「誘うなら、選ばせる言い方をする。もし違うと言われたら、ごめんねって言って、それで終わり。機嫌を悪くしないこと」

「……難しいですね」

「だから、実際にホテルまでの道も歩いておいたほうがいい」

紗良はそう言って、先に歩き出した。

ホテルの入口の前まで来ると、紗良は律を見上げた。

「ちょっと試しに中、入ってみる?」

「え、本当に?」

「嫌ならやめとくけど」

律は数秒迷ってから、小さく首を振った。

「嫌ではないです」

紗良は、おどけるふりをして律の腕へ自分の腕を絡めた。

「じゃあ、こうすれば自然でしょ」

律の身体が固くなる。腕の下にある肩や胸は、紗良が想像していたよりずっと硬く、しっかりしていた。

律の頬はまた赤くなった。その顔と、腕越しに伝わる体温が、紗良の悪い心をさらにくすぐった。彼女はボタンを押し、受付を済ませた。

部屋に入ると、紗良は上着を脱ぎ、ベッドの端に腰掛けた。

「ねえ、こういうところでは、どうするか知ってる?」

律は立ったまま、困ったように眉を寄せた。

「一応、そういうことなら経験はあります」

紗良は、ああそうだよな、と心の中で思った。男なのだから、自分が知らないことばかりではない。なのにそれが少しだけ残念だった。

その残念さの更に奥、別の気持ちもあった。その子と、律がこういう場所へ来ることを想像すると、急に自分のものにしてみたいと思ってしまう。

付き合いたいと思っているわけではない。ただ、ここまで育てたのを、自分も少しくらい見ていいのではないか。そんな都合のいい言い訳を、自分にしていた。

「分かるなら、やってみなさい」

紗良は胸を張り、冗談めかして言った。

律はすぐに動けなかった。ベッドに座った紗良から少し離れたまま、何度も彼女の顔を見ようとしては視線を外す。

「そんなことじゃ進まないよ」

紗良は笑い、隣の空いた場所を軽く叩いた。

「まず、ここに座る」

律が隣に座ると、紗良は少しだけ肩を寄せた。今度は彼女のほうが、距離を縮めた。

「次は?」

「……キスしてもいいですか」

その言葉に、紗良は笑うのをやめた。

「それでいい」

声が少し掠れた。

「もっと近づくの」

律は、念を押すようにもう一度彼女の目を見た。それから、紗良が頷くのを待って、そっと頬に触れた。

最初のキスは、本当に軽いものだった。唇が触れるか触れないか。紗良はわざとらしく小さく音を立てて、離れた。

「その子にも、これでいいと思ってるの?」

律は目を丸くして、何も言えなかった。

紗良はもう一度、自分から近づいた。今度は少し長く、唇を重ねる。離れるとき、わざと彼の下唇を軽く噛んだ。

「もっと積極的に。相手が待ってるのに、そんな遠慮してたら進まないよ」

律の手が、ためらいがちに彼女の肩に触れた。触れただけで止まったまま動かない。紗良は彼の手を取って、自分の腰の上に置き直した。

「まずここ。腰を両手で支えて。服の上からでいいから、指の腹で軽く押さえるの」

律の指が、ゆっくりと動いた。紗良の腰の曲線に沿って、熱が伝わってくる。彼女はわざとらしく小さく息を吐いた。

「ん……そう。そのまま、少し上へ。肋骨の下あたりまで、手のひらを滑らせて」

自分で彼の手を導きながら、シャツの裾を少しめくり上げた。彼の指が直接肌に触れる。体温が、はっきりと分かった。

「次は胸。服の上からでいい。下から支えるようにして、親指で外側を円を描くの」

律が指示どおりに動くと、紗良の胸が彼の掌に収まった。布越しでも、乳首の位置が伝わってくる。彼女は喉の奥で小さな音を漏らした。

「……はい、そこ。親指を内側へずらして。乳首の周りを、ゆっくり円を描く」

彼が動かすたびに、紗良の肩が小さく震えた。わざとらしい指示を出す自分の声が、妙に熱を帯びていることに気づき始めていた。普段なら絶対に言わない言葉を、今は楽しむように口にしている。

「もう少し強くてもいいよ。つまむようにして」

律が指先で布越しに乳首を軽くつまむと、紗良の腰がわずかに浮いた。甘い痺れが、胸から下腹へと広がる。彼女は目を細め、彼の耳元で囁いた。

「んっ……いい感じ。その子がこういう反応したら、もっと触っていいってことだから」

紗良は自分のスカートの裾をまくり、彼の手を太ももへ導いた。

「次はここ。太ももの内側。指の腹で、ゆっくり上へ撫でるの。ゆっくりだよ」

律の指先が、熱を帯びた肌を撫でる。太ももを上がるにつれて、紗良の息が浅くなっていく。彼の指が下着の縁に触れたとき、彼女は彼の手首を掴んで、さらに内側へ押した。

「その奥。布の上からでいい。真ん中を、縦にゆっくり撫でて」

律が指を動かすと、布の上からでも熱と湿り気がはっきり伝わった。紗良は小さく腰をくねらせ、彼の指に自分から押しつけるようにした。

「ほら、もう濡れてるでしょ。指で少し押すように……そう、そこ」

律が布越しにクリトリスのあたりを押さえると、紗良の太ももが内側から震えた。声が、演技の範囲を超え始めていた。自分で指示を出しながら、その指示どおりに触れられる感覚が、知らない興奮を呼び起こしている。

「下着、ずらして。直接触って」

律がためらいながら布を横にずらすと、熱く濡れた肌が露わになった。彼の指先が直接触れた瞬間、紗良は小さく喘いだ。

「あ……そこ。指の腹で、撫でるように。強くしないで、ゆっくり」

律が動かすたびに、紗良の内側が熱く疼いた。彼女は彼の肩に額を押し付け、腰をわずかに前後に揺らした。わざとらしい言葉を重ねるたびに、自分の身体が正直に反応していくのが分かった。普段の自分なら絶対にしないような、露骨な指示。それが今は、彼の照れた顔と一緒になって、彼女をさらに高ぶらせていた。

「もう一本、指入れて。中を、ゆっくりかき回すように」

彼が中指を沈めると、熱い粘膜がすぐに絡みついた。紗良は息を詰め、彼の手首を押さえて深さに導いた。指が動くたびに、ぬるぬるとした音が小さく部屋に落ちる。

「んっ、あ……そこ、いい。曲げて、上のほう」

律が指を曲げると、紗良の腰が大きく跳ねた。甘い電流が下腹を突き抜ける。彼女は彼の首に腕を回し、声を抑えきれなくなっていた。

「もっと動かして」

自分の言葉が、途中から本気の吐息に変わっていく。紗良は彼のベルトに手を伸ばし、外した。すでに硬く熱を持ったものを、掌で包む。

「こっちも、ちゃんと準備できてるね」

彼女は彼のものを上下に動かしながら、自分の脚をさらに開いた。彼の指がまだ中に入ったままだった。二つの感覚が重なって、頭が少しぼんやりする。

「入れてみて。ゆっくりでいいから」

律が体勢を変え、彼女の脚の間に腰を進めた。熱い先端が入り口に触れる。紗良は自分で彼のものを導き、腰を持ち上げた。

「そのまま、奥まで。一気にじゃなくて、少しずつ」

彼が腰を沈めると、熱がゆっくりと中に広がっていく。全部入ったところで、紗良は彼の背中に爪を立て、長く息を吐いた。

「……全部、入ったね」

ここで、紗良は一度彼を押し返した。

「ちょっと待って。服、脱がせてあげる」

彼女は起き上がり、律のシャツのボタンを一つずつ外していった。胸板が露わになるたびに、彼の耳が赤くなっていく。シャツを脱がせ、次にパンツを下ろす。硬く熱を持ったものが、そのままの形で現れた。

紗良は自分の服にも手をかけた。ブラウスを脱ぎ、スカートを下ろす。下着は、清楚でシンプルなものだった。薄いブルーの、飾り気のないデザイン。股間の布地には紗良が思っていたよりも濃い染みが広がっていた。部屋の明かりに照らされて、その染みがくっきりと目立つ。

紗良は一瞬、視線を外した。こんなにはっきりと分かるなんて。でも、律がその染みを見て固くなっているのが分かると、かえって意地悪な気持ちが湧いてきた。

「見て。こんなになってる」

彼女は下着をゆっくりと下ろした。染みのついた布地が太ももを滑り落ちる。裸になった自分を、律の前に晒す。普段なら絶対にしない大胆さだった。

「次は下になって。私が動くから」

紗良は彼をベッドに押し倒し、自分から跨がった。熱いものを手で支え、ゆっくりと自分の中へ沈めていく。全部入ったところで、腰を止めた。奥まで届いている感触に、息が震える。

「動かないでね。私がする」

彼女はゆっくりと腰を上下に動かし始めた。最初は浅く、様子を見るように。ぬるい音が部屋にまた落ち始める。律の手が彼女の腰に触れたが、彼女はそれを避けた。

「見てて」

紗良はリズムを少しずつ速くした。彼のものが奥を擦るたび、甘い痺れが広がる。声が漏れてしまう。彼の表情を見下ろすと、律は歯を食いしばるようにして耐えていた。

「もうイきそう? でも、まだだよ」

彼女は動きを止め、彼のものを根元まで飲み込んだまま動かなくなった。律の太ももが震える。息が荒い。紗良はそれを楽しむように、彼の顔を覗き込んだ。

「落ち着くまで、待ってて」

彼女は彼から外れ、隣に膝をついた。自分の脚を開き、中指を下から入れる。ぬるぬるとした感触が、すぐに指に絡みついた。彼の目の前で、自分の指を出し入れする。腰をくねらせ、声を少し大げさに漏らす。

「んっ……見てて。私、自分でする」

律の視線が、彼女の指の動きに釘付けになっていた。彼も自分のものを触り始めようとした。紗良はすぐにその手を掴んで止めた。

「だめ。触らない。我慢して」

彼の手が止まった。紗良はさらに指を深く入れ、もう一本を加えた。自分の中をかき回す音が、はっきりと聞こえる。見られていることが、興奮を煽った。

「その子は、こんなことまではしないけどね。絶対」

彼女は彼のものを手で握り、ゆっくりと上下に動かした。でも、決してイかせない。先が赤く腫れて、脈打つ感触を掌に感じながら、わざと途中で止める。

「その子とセックスしても、私を思い出すんだよ」

その言葉を自分で口にした瞬間、紗良の内側が熱く疼いた。命令するような言い方が、自分自身を高ぶらせている。普段の自分なら絶対に言わない言葉。それが今は、快感と一緒になって胸の奥に落ちてくる。

「一緒にイこう」

彼女は再び彼に跨がり、ゆっくりと沈めた。今度は最初から深く、奥まで。腰を大きく回しながら、彼のものを締めつける。

「動いて。出していいよ」

律が腰を動かし始める。紗良は彼の動きに合わせて、自分からも沈み込んだ。熱が何度もぶつかり、甘い痙攣が腰から広がる。彼の息がますます荒くなっていくのを感じて、彼女は耳元で囁いた。

「我慢しなくていい。その子のことは考えないで、今は私だけ」

彼の腰が震えた。紗良は自分のクリトリスを指で刺激しながら、彼のものを奥まで受け入れた。限界が近いのが分かった。彼女は彼の肩に手を置き、目を合わせた。

「出して。中で」

律が大きく下から突いた瞬間、熱いものが勢いよく迸った。コンドームの中で、肉棒が何度も大きく脈打つ。その動きを、紗良は内側で締めつけながら愉しんだ。射精のたびに跳ねる感触が、奥まで伝わってくる。最後の一滴まで出し切るまで、彼女は腰をくねらせ、彼のものを締め続けた。

しばらく、二人はそのまま抱き合っていた。

紗良は天井を見ながら、自分の身体に残る熱を感じていた。ふざけて始めたはずなのに、最後は本気で求めてしまっていた。彼が中で脈打つ感触が、まだ内側に残っている。

律がゆっくりと体を起こすと、紗良はベッドに寝転がったまま、彼の新しい前髪を指でいじった。

「……なんか、変なことしちゃったね」

律が何かを言いかけたのを、彼女は手で制した。

「でも、めっちゃ興奮しちゃった。正直」

彼女は笑って、彼の額に軽くキスをした。

「その子とのデート、うまくいくといいね」

律は少し驚いた顔をして、それから小さく頷いた。紗良は彼の前髪をもう一度整えながら、部屋の明かりを消した。

真面目な話は、しない。今日のことは、レクチャーの延長だと言い張れるうちに、終わらせたかった。

INSPIRED BY THIS WORKこの物語の着想になった作品 『いけないことしかいたしません』
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