SLENDER IV.com / 書き下ろし官能小説
その気にさせる男
作品から着想を得た、書き下ろし官能小説です。
レビュー対象とは別の人物・設定で書かれた、出演者本人とは無関係の書き下ろし成人フィクションです。
この物語は作品から着想を得た独立したフィクションです。出演者本人の心情や実際の出来事、レビュー対象の固有場面を示すものではありません。
この小説は、作者自身のアイデアと構想をもとに、AIの支援を受けながら文章化・推敲しています。
WRITTEN FOR SLENDER IV.com
私は、たぶん人より少し目立つ。
背は高めで、手足は細く長い。それでいて胸にはそれなりにボリュームがある。顔立ちも派手というより、昔から「清楚」「正統派の美人」と言われることが多かった。
だからこそ、気をつけている。
実際の私は、見た目から想像されるほどおとなしい女ではない。むしろ性欲はかなり強い。ただ、そんな自分を無警戒に外へ出してしまえば、噂になりやすいことくらい分かっている。
だから普段は一人で済ませる。
欲望は欲望。外では外。 そこはきちんと分けているつもりだった。
*
知り合いのママから頼まれて、夜の店を手伝うことがある。
その日も人手が足りないというので、数時間だけ店に出ていた。
一人でやってきたその客は、物腰の柔らかな男だった。
酒の飲み方も静かで、距離を詰めてくるわけでもない。
しばらく普通に話していたあと、男が言った。
「変な意味ではないんです。誘ったりもしません。ちょっと質問に答えてもらってもいいですか」
何の質問だろうと思った。
最初は簡単だった。
どこを触られるのが好きなのか。
どういう触られ方が好きなのか。
私は仕事の会話として、適当に笑いながら答えた。
ところが質問は少しずつ具体的になった。
では、その次はどうしてほしいのか。
どういう順番なら一番いいと思うのか。
そう聞かれるたびに、答えるためには一度、その状況を頭の中で想像しなければならなかった。
それがまずかった。
質問される。
想像する。
答える。
また次を聞かれる。
いつの間にか、男と話しているというより、自分の頭の中に作られた場面を説明しているような気分になっていた。
途中から、本気で妙なことまで考え始めた。
この人、何かやってない?
新手の催眠術とか、心理誘導を使ったナンパなんじゃないだろうか。
そんな馬鹿げたことを疑いたくなるくらい、自分の感覚がおかしくなっていた。
けれど、目の前の男は何もしない。
触れてもこない、誘ってもこない。
ただ、こちらの答えを興味深そうに聞いているだけだ。
それなのに、質問されるたびにおかしな気分になっていく。
このままでは接客にならない。
一度落ち着けばいい。 鎮めてしまえば、普通に戻れる。
そう判断した。
「ちょっと、お化粧室に行ってきますね」
男は何も疑わず、軽く頷いた。
私は席を立った。
化粧室の個室の扉を閉めた瞬間、肩の力が少し抜けた。
便座の蓋を下ろして腰を下ろす。スカートを直す。呼吸を整える。まだ営業中。客は待っている。長くいるわけにはいかない。数分で戻る。それだけでいい。
頭の中を空白にしようとした。
空白には、すぐに男の声が入ってきた。
「どこを触られるのが好きなんですか」
仕事の会話として、笑って答えたはずだった。鎖骨のあたり、と。強くではなく、指先でなぞるように、と。
客を退屈させないための、ありふれた答え。
なのに今、その答えが自分の皮膚の上で再現される。誰の手でもない。ただ、自分がそう答えたという事実だけが、鎖骨のラインをゆっくりなぞっていく。ブラウスの下で、鎖骨から胸の上へ落ちる感覚だけが、妙に鮮明だった。
息が浅くなる。
スカートの裾をたくし上げ、下着の端に指をかける。冷たい便座の感触と、腿の内側の熱が同時にある。最初は、押さえつけるだけで収まると思っていた。昂ぶりを鎮める。
指先が当たった瞬間、自分の湿りに少し驚く。客の前では笑っていた。笑っていたのに、もう準備ができていた。
軽く、縦に一度だけ動かす。短く終わらせるつもりだった。快感を探すのではなく、圧力を逃がす。それだけ。
そのとき、次の質問が耳に戻ってくる。
「では、その次はどうしてほしいんですか」
指が、自分の意思より深く入っていく。
想像が次の場面へ進むたびに、身体が先に応じてしまう。質問の言葉が、順番どおりに身体を開いていく。
「どういう順番なら一番いいと思いますか」
あのとき、答えるために頭の中で組み立てた場面が、今になって本物のように動き出す。自分が客に説明したはずの順番を、今度は自分の指が実行している。
指が動く。熱い。もう充分に濡れている。浅い場所を擦っただけなのに、内側が勝手に締まる。
何をしてるんだろう。
仕事中だ。個室に入ったのは、鎮めるためだけだった。数分で戻るはずだった。なのに指は止まらない。止めようとするほど、次の質問が来る。
「その次は」
腰が、わずかに浮く。便座の蓋が小さく鳴る。歯を食いしばる。声は出せない。隣に誰かいるかもしれない。店に、あの男が待っている。
「ん……っ」
喉の奥で潰す。それだけなのに、自分の耳に大きく聞こえる。出せない声を殺しているという事実が、指先の感覚を鋭くする。滑稽だった。可笑しくて、逃げ場がなくて、その逃げ場のなさまでが熱になる。
早く戻らなければ。
スカートは上がったまま。下着は腿に引っかかっている。この格好のまま、あと何分ここにいられるのか。考えた瞬間、指が深く入る。自分で入れた。自分の意思だ。自分の動きだ。なのに、あの男の質問の続きを、身体が先に答えている。
ただ聞かれただけだ。それなのに、ここまで持っていかれている。その状況そのものが、また濡らす。
「は……あ」
小さい。吐息にしかなっていない。それでも、壁の向こうに漏れた気がして、肩がすくむ。怖いはずなのに、締まる。羞恥と快楽が同じ場所で混ざる。清楚だと言われる顔の裏側で、欲だけが正直になる。
途中で止めたら、席に戻っても同じことが起きる。一度、きちんと終わらせる。それが最短だ。そう言い聞かせて、指の腹で核を捉える。短い動き。速い動き。想像はもう順番どおりに進まない。質問が重なる。どこ。どういう触れ方。その次。どういう順番。
頭の中の男は、何もしていない。ただ、答えを待っている。
腰が勝手に動く。膝が内側に寄る。「だめ……」と口の中だけで言う。声にならない。ならないことが、また突き上げる。何をしてるんだ。化粧室で。接客の途中で。こんなに急いで、こんなに深く。
頂点は、予告なく来る。
「んっ……っ」
悲鳴になりかけた声を、唇の裏に閉じ込める。背中が丸まる。指先の感覚が遠のき、内側から熱が溢れる。足先まで走る。しばらく、何も考えられない。空白。換気扇の音だけが残る。
次の瞬間、店の照明と、客のグラスと、自分の持ち場が戻ってくる。
何分経ったのか分からない。
何事もなかった顔を作って、私は席へ戻った。
男は先ほどと同じ場所で、静かにグラスを傾けていた。
何があったのか知っているのは、私の指だけだ。
「じゃあ、続きを聞いてもいいですか」
また質問が始まる。
私はこのあと、果たして耐えられるのだろうか。