04 / FICTION

SLENDER IV.com / 書き下ろし官能小説

誰にも見せない私

清楚な日常の裏で、一人の夜を告白する

清楚な女性として暮らす紗季が、誰にも話してこなかった一人の夜と、もう一つの自分を初めて告白する。

創作であること

この物語は作品から着想を得た独立したフィクションです。出演者本人の心情や実際の出来事、レビュー対象の固有場面を示すものではありません。

この小説は、作者自身のアイデアと構想をもとに、AIの支援を受けながら文章化・推敲しています。

WRITTEN FOR SLENDER IV.com

私は、たぶん周りから、そういうことをしない人間だと思われている。

二十六歳になった今でも、職場では清楚な人と呼ばれる。

肩につかない長さの黒い髪。淡い色のブラウス。膝の見えないスカート。人の話を遮らず、大きな声で笑わない。誰かが下品な冗談を言えば、意味が分からなかったような顔をする。

半分は生まれつきで、半分は私が選んだ振る舞いだ。

私は、みんなが思っているような私でいることが嫌いではない。

昼休みになると、同僚たちは恋人との夜を話す。

何をされたとか、何をしてほしいと言われたとか。昨日まで秘密だったはずのことが、コンビニのサラダを食べながら、笑い話としてテーブルに並ぶ。

私はいつも聞く側にいる。

「紗季は、こういう話に興味なさそう」

そう言われれば、少し困った顔で笑う。

「聞いているだけで十分かな」

嘘ではない。

私は、自分のことをそこで話したくないだけだ。

みんなの前では言わないけれど、私は週に何度か、夜を自分のためだけに空けている。

残業を断り、帰りに小さな瓶のワインと果物を買う。部屋へ着いたらスマートフォンの通知を切り、急いで入る必要のない風呂に、好きなだけ長く浸かる。

風呂から上がると、誰に見せるわけでもない下着を選ぶ。

人前では着ない色のものも持っている。レースの幅や、肌に触れたときの感触で選ぶものもある。

恋人はいない。

誰かが訪ねてくる予定もない。

それでも私は、鏡の前で一度、自分の姿を見る。

清楚な紗季さんは、そんなものを選ばないと思われているかもしれない。

でも、その夜の私は、誰かの想像の中にいる私ではない。

ベッドに入る前に、鍵を確かめる。

カーテンを閉じ、照明を一つだけにする。枕元には、誰にも見せたことのない箱がある。自分で買った道具と、読みかけの小説と、イヤホンを入れている。

初めて買ったときには、荷物を受け取るだけで顔が熱くなった。

けれど、使うことそのものには、最初からそれほど迷いがなかった。

私は以前から、自分がどうすれば満たされるのかを知っている。

最近になって欲望へ目覚めたわけではない。寂しいからでも、誰かの代わりが欲しいからでもない。

私にとっては、眠ることや、湯船で身体を温めることと同じように、一人で過ごす夜の一部だった。

イヤホンから聞こえる声に目を閉じることがある。

物語の中の誰かに自分を重ねることもある。

優しく求められる夜を選ぶ日もあれば、普段の私なら口にしない言葉や、少し乱暴な気配を選ぶ日もある。

その日の私が何を欲しがっているのかは、誰にも聞かなくていい。

私は自分で選び、自分の手で確かめる。

静かだった呼吸が変わっていく。

声を抑えようとして、途中でやめることもある。ここには私しかいないのに。恥ずかしがる相手も、清楚な顔を期待する相手もいないのに。そしてやはり続きにふける。

終わったあとは、しばらく何もせず横になっている。

満たされた身体の重さを感じながら、冷めかけたワインを飲む。

それが、誰にも話していない私の夜だ。

道具を洗って箱へ戻す。下着を手洗いし、部屋を整える。翌朝になれば、いつものブラウスに袖を通す。

鏡に映る私は、前の日と何も変わっていない。

電車に乗り、会社へ行き、後輩の相談を聞く。

「紗季さんって、一人の夜は何してるんですか」

以前、そう聞かれたことがある。

「本を読んだり、お風呂に入ったり」

私はそう答えた。

それも嘘ではない。

ただ、どんな本を読み、風呂から上がったあとに何をしているかを言わなかっただけだ。

誰にでも、話していない時間くらいある。

それなのに、清楚だと思われている女性には、欲望まで清らかであることが期待される。

私は、その期待をわざわざ壊そうとは思わない。

みんなの前で自分の夜を語りたいとも思わない。

明日もきっと、誰かの恋愛話を聞きながら、よく分からないという顔をする。

下品な冗談には、小さく首を傾げる。

そして帰宅すれば、鍵をかける。

髪をほどき、通知を切り、誰にも見せない色を身につける。

清楚な私を脱ぎ捨てるのではない。

昼間の私も、夜の私も、どちらも同じ私だから。

ただ一つ違うのは、夜の私は、誰かにどう見えるかを考えなくていいということだ。

私は自分の欲しがるものを、ずっと前から知っている。

そして今まで、それを誰にも話さなかった。

これが、私の私生活だ。

これが、私が初めて口にする、本当の告白だ。